人間ドック学会&保健指導研修

 

所長の高田です。

 

 

すっかりと筆不精になってしまい、このままだとブログもひっそりと

自然消滅するので、気力を振り絞って書いております。

 

もうすぐ11月で今更ですが、8月下旬に参加した、埼玉県の大宮で

開催された日本人間ドック学会のことを少し書きます。

  

 

今回も一般演題発表の座長をさせていただきました。

 

写真の会場は演題開始前です。

 

 

私は「コンピュータシステム」のセッションを担当させていただき、

6名の方の口演発表がありました。

 

現在人間ドック健診の世界で普及してきた遠隔読影についての発表や、

巡回健診バスで撮影したX線写真がリアルタイムで医療機関に転送される

システムの運用についてなどの、興味深い発表がたくさんありました。

 

特に後者の発表は、読影の効率化という医療側のメリットのみならず、

巡回健診で撮影したX線写真の読影結果が、すぐに現場の診察医のもとに

来て、診察時にある程度の結果が伝えられる…といった受診者サービスの

向上の可能性もあるかと思い、巡回健診に新たな価値の構築が出来るので

はと、大変期待させられる内容でした。

 

 

また学会から1か月後の9月下旬には、『人間ドック健診情報管理指導士』の資格更新研修のために、大阪に行きました。

 

 

この資格は、特定保健指導を実施する医療職が、必要とされる研修を修了

したことを証明する人間ドック学会が認定する資格で、5年ごとに更新が

あるため、定期的にブラッシュアップ研修を受けることになっています。

 

本研修は、医師はもちろんのこと、保健師・管理栄養士も参加して、

保健指導症例についてグループワークを行うという、非常に珍しい

多職種間研修です。

 

 

私のグループは全員で6名で、医師2名、保健師3名(うち男性1名)、

管理栄養士1名の構成でした。

 

職種が違うことはもちろんのこと、施設が異なると保健指導に関する

考え方や、受診者へのアプローチが微妙に異なるので、意見を交換して

楽しかったです。

 

最近は「動機付け面接」という言葉もあるように、一方的に指導内容を

伝えたり、合併症について脅し文句のような内容で、強制感を持つ

保健指導を行うということは殆どなく、私の参加したグループの皆さんも

全員、きちんと受診者の訴えに耳を傾け、相手の反応を見ながら

生活習慣改善を提案していくスタイルの指導を行われているようでした。

 

 

保健指導というのは、実は指導内容は実は決まっているんです。

 

つまり、

 

「体重を落とす」

 

「お酒を控える」

 

「禁煙する」

 

ほぼこれだけなんですね。

 

更に減量指導の中には、摂取カロリーのコントロール、日常生活活動量の

増加、定期的な運動習慣の獲得、減塩による食事量コントロールなどが

含まれます。

 

 

従って伝えたいことは決まっていますので、結局は

 

 

”行動変容をいかに起こさせるか”

 

 

ということになってくるのです。

 

つまり保健指導の本質は、減量の技術論ではなく、いかに動機付けさせる

ことが出来るかというコミュニケーションなんですね。

 

そういう意味では、メンタルヘルス面談と本質はなんら変わりません。

 

 

ではどうしたら嫌がる受診者に、行動変容を促す動機付けをすることが

出来るのか?

 

それは、

 

 

「自分を相手に信頼してもらう」

 

 

ことに尽きます。

 

だから一般的な人間関係において重要なことと、全く同じなんです。

 

 

ただ難しいのは、一般的な人間関係の構築は長い時間がかけられますが、

保健指導は平均15分程度、長くても30分。

 

この短い間に信頼関係を構築しなければならないことが、保健指導を

困難なものにしています。

 

 

では医療職は、どのようにして受診者と信頼関係を構築すればいいのか?

 

一つは

 

『飛び道具』

 

を使う事。

 

 

つまり、ネット上でとびかっている

 

「これさえ飲めば痩せられる!」

 

といった夢のような情報を提供することです。

 

 

これは殆どの受診者が飛びつかれると思います。

 

何故ならば夢のような話ですから。

 

 

でも現実はそのような美味い話はありません。

 

無いどころか、“健康被害の落とし穴”がある場合が多いので、倫理観の

あるまともな医療職はそういった『飛び道具』は絶対使用しません。

 

 

それにダイエットで大事なのは、結果ももちろんですが、

本当に大事なのは『プロセス』なんです。

 

『プロセス』に予防医学のエッセンスが濃縮されているので、

ダイエットのみではない、全ての健康に好影響が出てくるのです。

 

その『プロレス』じゃない、『プロセス』を軽視して、簡単に結果を

手に入れようなどと欲をかくと、先日の衆院選の某政党のように、

結局すべてを失うことになりかねません。

 

 

では『飛び道具』を使わないのであれば、我々医療職はどうすれば

受診者の信頼を短時間で得られるのか?

 

これは永遠の課題ではありますが、私も保健指導を約13年続けてきて、

ある程度答えが出てきました。

 

それが巷で「動機づけ面接」と言われているものと同じ内容には

なってきますが、もっと細かく、面談時の立ち振る舞いや相槌のうち方、

声のトーンの変え方までも含め、15分の間に信頼を得るための全ての

エッセンスを入れ、その上で『傾聴』をしつつ効率的な指導を組み立てていくことで、かなりの行動変容を促すようになってきました。

 

 

ただ一つ大事なのは、一度の指導で全ての改善を期待しないことです。

 

一度の保健指導で行動変容が起きれば素晴らしいですが、必ずしも

そうもいかない場合も多いので、そういった場合は、

 

“次回のチャンスを待つ”

 

といったことも大事になります。

 

私は執念で3年間ニコニコしながらも、しぶとく保健指導のジャブを

打ち続け、結果として3年間で信頼関係が構築でき、飲酒習慣の行動変容

による肝機能の改善に繋げたこともあります。

 

 

そういったノウハウを、非常勤講師をしている大学の保健師の卵の

学生さんに伝えています。

 

このノウハウは私が業務を通して必死に作り上げた財産ですが、

どんどん教えています。

 

当たり前のことばかりですが、保健指導で悩んでいる経験の浅い保健職の

方がいらっしゃいましたら、お尋ねください。

 

 

ただ今回の保健指導研修で残念だったのは、講師の医師・保健師・

管理栄養士の方々が、あまり保健指導の実践経験が豊富ではなさそう

だったことです。

 

講義で文献を引用したりしてご説明されていましたが、保健指導領域の

論文は正直言って、そこまで価値の高いエビデンスは無いので、

“エビデンス信仰”にこだわり過ぎず、自分自身の経験からの具体的な

もっと多くしていただきたかったです。

 

保健指導の成功例は誰でも経験があるので、失敗例を講義で取り上げる方

が、保健指導に従事するスタッフに共通する課題が必ず見つかるので、

その点が残念でした。

 

 

最も残念だったのは。アルコール依存症治療専門の医師の方が、未だに

 

11合量までならば可」

 

とか

 

「ある程度のアルコールは死亡率を下げる。Jカーブより」

 

などと説明されていたことです。

 

 

でも、その研修に参加したのは保健指導を行う医療職ですからね。

 

我々の指導対象となる方は、基本的に健診で異常のある方なんですよ。

 

既に健診データ異常が見られる方達には、基本的に飲酒をするのは

デメリットしかないので、

 

11合量までなら可」

 

なんて、定型的な指導は有り得ないんです。

 

 

それが当てはまるのは、百歩譲って健診データ異常の無い方のみ。

 

ただ、巷でのコンセンサスとなっている、11合量、つまりビールだと

1500ccまで可、なんてことも本当は怪しいんですよ。

 

健診データを真面目にたくさん見ている医療職ならば、毎日ビール500cc

も飲んでいたら、脂質・肝機能・尿酸は確実に数値が上昇しますし、

貧血予備軍のMCVの上昇も認めることは、よくある光景であるはずです。

 

 

また、休肝日の設定をあまり強調されない説明だったのも疑問でした。

 

休肝日をとれない方は、アルコール依存の入口に居る場合が多く、

休肝日を取れるかどうかが、飲酒の管理が出来る最も大きな目安となる

からです。

 

保健指導では体重や肝機能の急激な増減から、内科的疾患の可能性は

もちろんですが、長時間労働や交替勤務やメンタル面の問題を、要因と

して認めることがしばしばあり、不眠がキッカケで多量飲酒となり、

その結果としてメンタル面が余計に悪化するということもしばしば認め

ます。

 

そのため、健診結果からの保健指導では広い観点から考える必要があり、

その中でも飲酒というのは、一つの大きなカギとなります。

 

 

にもかかわらず、そういった疑問だらけの内容のアルコール講義を、

研修に参加した多くの保健師・管理栄養士さん達が素直にウンウンと

頷かれて聴かれていたので、今後の保健指導に悪影響が出るのではと、

不安になってしまいました。

 

 

疫学統計や教科書も結構ですが、予防医学は実践の医学ですからね。

 

次回の研修では、もっとリアルな内容に期待します。 

 

 

私も人様に保健指導する以上、私がいつも保健指導で伝えている内容は

自分自身が実践しています。

 

下の写真は、保健指導研修2日前の、私の体重とBMI・体脂肪率です。

 

 

ライ〇ップといったジムに行かなくても、1日3000歩くらいしか

歩けなくても、時々スナック菓子を食べても、時々お酒を飲んでも、

加齢でダイエットは難しくなると一般的に言われる40歳半ばの中年でも、

これくらいは体重・体脂肪率をコントロール出来ます。

 

今は腹筋もパッキパキです。

 

 

「私が証明よ!」

 

 

とCMで叫ばれていた、某化粧品会社の女性社長さんみたいな感じですね。

 

私がBMI25を超えるのは、この仕事を諦めた時でしょう。

 

  

といったことで、長くなり過ぎましたので、この辺で失礼致します。

 

高田労働衛

コンサルタント事務所

名古屋市中区丸の内2丁目 

(地下鉄丸の内駅2番出口徒歩1分)

事務所スタッフ

    所長  高田 幹 

      猫所長  マハロ 

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