日本総合健診医学会第45回大会に参加して

 

所長の高田です。

 

 

あっという間に2月になってしまいましたね。

1月は忙しかった、、、。

 

 

先週末、日本総合健診医学会の学術大会に参加するため、

千葉の舞浜に行って来ました。

 

 

人間ドック学会・総合健診医学会の指導医講習があったので、参加して

きましたが、そこで来年開始予定の新専門医制度についての学会方針に

ついて、人間ドック学会の役員の先生から説明がありました。

 

私も一応人間ドック学会の評議員ですが、結論から言うと、

ドック学会の新専門医制度へのスタンスについては残念な思いです。

 

今回の新専門医制度の目玉は総合診療科の専門医の創設で、

専門医の名のもと細分化された科目の、縦割り対応が目に余るように

なった現在の日本の臨床医学の世界に、一石を投じるものです。

 

診療において疾病のみを見つめるのではなく、ヒトを“全人的に診る”

という医療の原点に立ち還る意味合いを持つものです。

 

細分化された臨床医学の一方、予防医学はまだ未確立な分野ですが、

疾病の予防のためにはヒトを全人的に診ることが必要不可欠であり、

更に健康管理のためには、疾病予防のみならず外傷予防の観点も必要で

あり、ヒトのみならず、ヒトの周囲にある環境面も診ていく分野だと

私は捉えています。

つまり予防医学は、横断的な分野である総合診療科よりも、

更に広い観点から、ヒトを診ていくという分野であると考えています。

 

その予防医学の分野における学会の中でも、人間ドック学会は最大級の

学会であり、また予防医学においても最も優先される二次予防の中核を

担う学会です。

だからこそ人間ドック学会は、今回の新専門医制度において、何として

でも基本領域の専門医になり、そのことにより『予防医学』という分野を

本当の意味で確立す最大のチャンスだと、個人的には思っていました。

 

しかし、人間ドック学会も努力して交渉したものの、基本領域の専門医に

なるには時期尚早の判断を下されてしまったということは、私も聴いて

おりました。

  

ただ、私が残念に思ったのは、人間ドック学会のその後の対応です。

 

新専門医制度の初年度からは無理でも、引き続き基本領域の専門医と

なるべく努力し続けるべきであると私は思っていましたが、人間ドック

学会の上層部が下した判断は、2階建ての新専門医制度の2階部分に

あたる、“サブスペシャリティ”の専門医を目指すというものでした。

 

一次予防の健康増進まで含まれる横断的な分野である人間ドックが

どうしてサブスペシャリティ?

  

人間ドック学会は、新専門医制度に組み込まれる事を最優先事項として

おり、肝心な人間ドックという分野の立ち位置については、やはり

臨床医学の付録的位置づけ(臨床医学の”延長線”ではなく)と思っている

ことが、今回の役員の先生の説明でよく分かり、大いに失望しました。

 

同じ予防医学分野である産業衛生学会は、サブスペシャリティの立場に

自分たちを位置づけましたが、それに留まらず基本領域の予防医学分野

として、新たに『社会医学系専門医』を他学会ともに立ち上げており、

まだ基本領域には認められてはいませんが、予防医学の一分野を基本領域

とすることを貫くスタンスを示しており、高い志を示しています。

 

人間ドック学会も同様のスタンスを貫く、もしくは社会医学系専門医と

合流すれば、『予防医学』の一大分野を築けるチャンスがあるのではと

個人的には思っていましたので、今回はとても無念な説明内容でした。

 

人間ドックの分野は、“臨床医の姥捨て山”というイメージで同業者からは

見られることが多く、叩き上げ人間ドック医である私はいつも悔しい思い

をしています。

 

今回の新専門医制度は、研修後の進路として、最初から人間ドックという予防医学の世界へのレールを引き、腰かけ気分の臨床医が跋扈するこの

人間ドック健診の世界において、真のプロ医師を養成していく最大の

チャンスだと個人的には考えていました。

 

ですので、

”基本領域の専門医がダメだから、サブスペシャリティの専門医目指す”

という信念に乏しい方針が、私には非常に受け入れがたいものでした

 

指導医講習では、人間ドック学会の基本領域となりうる学会を、

学会員のアンケートから探していることも聴きましたが、脳神経外科学会

までを基本領域たる候補に挙げており、横断的な分野の人間ドックの

基本領域が脳神経外科というのは、私にはとても理解しがたく

人間ドック学会の考えは、私とは考えを完全に異にすることが分かり、

ガッカリしました。

 

質疑応答時にフロアからは、「社会医学系専門医との連携の可能性は?」

という至極当然の建設的なご意見も出ていましたが、人間ドック学会の

役員の先生の反応は鈍く、むしろ専門医機構の代表の先生の方が、

長期的な視点を持たれていた印象でした。

 

日本は世界的にみても健診大国であり、「人間ドック」という言葉は、

日本発の言葉です。

”Ningen-Dock"という言葉を、トヨタ自動車の"KAIZEN"という言葉の

ように、国際的な共通語にしたいという希望が人間ドック学会にはあり、

国際学会も立ち上げています。

 

にもかかわらず、あくまでサブスペシャリティの分野に甘んじ、基本領域

は、学会員の他専門医の取得状況のアンケートから決めるというのは、

人間ドックを臨床医学の付録的位置づけと、人間ドック学会自らが認めた

形となってしまい(学会の役員の方々は気づかれていないでしょうが)、

学会の崇高な理念とは相反する行動であると、個人的には思います。

 

人間ドック学会は、3年前に『新たな健診の基本検査の基準範囲』

という論文を発表して、医療界に混乱をもたらしましたが、 

更にその論文の中で、”超健康人(スーパーノーマル)”という、

今まで自分たちが唱えてきた予防医学の考えを、自ら全面的に否定する

言葉(論文に携わった方達は自己否定をしてしまったことの認識をされて

いないようですが)を生み出し、結果として人間ドック学会の信用を

失墜させてしまいました。

 

私も人間ドックに携わる医師として、人間ドック学会の勇み足のお蔭で

屈辱的な想いをしましたが、今回更に”新専門医”の名のもと、結果的に

日本における人間ドックの分野を、自ら”臨床医の姥捨て山”に追いやる

可能性が濃厚になったことが、残念でなりません。

 

 

ただ本当は学会の方向性にかかわらず、医師個人が社会的使命感を強く

抱いて、社会に貢献するよう行動すれば良いだけなのかもしれません。

 

今回の指導医講習に参加された先生方には、私と同じ考えの方が多く

いらっしゃったと思います。

 

新専門医制度において人間ドック学会がこれからどうなろうと、

臨床研修後そのまま人間ドックの世界に飛び込んだ、数少ない叩き上げの

人間ドック専門医として、これからも自分の信念を貫いて、社会貢献を

していこうと、今回の学会参加を通して改めて思いました。

 

高田労働衛

コンサルタント事務所

名古屋市中区丸の内2丁目 

(地下鉄丸の内駅2番出口徒歩1分)

事務所スタッフ

    所長  高田 幹 

      猫所長  マハロ 

イベントのお知らせ

アクセスカウンター

counter since  2015