研究活動紹介

 

 高田所長の研究内容を紹介します。  

 

1.職業性ストレスによるうつ病性障害から復職した

日本人労働者の職場における心拍変動解析

 

 

※本研究の英文論文は、ドイツの産業医学専門誌

Inretnational Archives of Occupational and Environmental Health』(2010年第5号)に掲載されました。

“Heart rate variability assessment in Japanese workers recovered from depressive disorders resulting from job stress:Measurements in the workplace” Takada M, Ebara T, Kamijima M (Int Arch Occup Environ Health., Jun;83(5):521-9, 2010) 

 

 

1.研究開始までの経緯

 

 

私の産業医活動において、うつ病からの復職支援は大きな課題でした。 

業務負荷を増やしていくタイミングを見定めることが非常に難しかった

ことがその理由の一つでした。

 

うつ病はガンや生活習慣病とは異なり、レントゲンや血液検査といった

客観的検査では評価が出来ません。

そこで自覚症状や問診票といった主観的評価に依存せざるを得ませんが、

復職者自身でさえも、自身の体調を正確に評価することは困難なことが

多く、復職フォローアップの判断に苦慮することがしばしばでした。

 

そのような時、面談で使用し始めたのが「加速度脈波計((株)ユメディカ製

でした。

もともと指尖加速度脈波で、非常に簡便に動脈硬化度を評価出来るため、定期健診の生活習慣病改善指導や、長時間労働者面談時の脳・心疾患の

リスク評価に使用していました。

 

加速度脈波計は波形による動脈硬化評価に加えて、脈拍変動解析による

自律神経機能評価も同時に出来るので、希望者へ測定をしていました。

数名の復職者も測定を行っていましたが、その際いつ測定しても、

交感神経優位の数値が出るのに気付きました。

 

うつ病の状態では、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、結果として

交感神経の働きが絶対的・相対的に亢進することで、様々なストレス反応

を引き起こします。

そこで職場で復職者の自律神経バランスを測定することで、職場における

ストレス負荷状況を客観評価出来る可能性があるのでは、と考えました。

更には、精神的ストレス反応は強く認めないものの、身体的ストレス反応

を認めるメンタル不全予備軍の早期発見にも寄与するのでは、とも

考えました。

 

 

2.研究の実施

 

そこで名古屋市立大学大学院における研究として、業務上のストレスで

うつ病を発症し、その後復職した労働者の自律神経バランスを、実際の

会社において加速度脈波計により測定し、メンタル疾患の既往の無い

労働者と比較する調査・分析を行いました。

 

しかし加速度脈波計による自律神経機能評価の研究は当時殆どありません

でしたので、この研究を行うために加速度脈波計の自律神経機能評価の

妥当性を検討するための先行研究を行い、論文や学会で発表しました。

 

<先行研究論文・学会発表 ①~⑧>

“Stationarity of the heart rate variability by acceleration plethysmography: Short-term measurements of healthy young males in daily life”Takada M, Ebara T, Sakai Y, Kuwano Y (J Hum Ergol., 38:41-50, 2009)

  “The acceleration plethysmography system as a new physiological technology for evaluating autonomic modulations”  Takada M, Ebara T, Sakai Y (HEP., 35(4),373-377, 2008)

  

“The effectiveness of the “Kingyo program” as atemporary mental load”  Takada M, Ebara T, Sakai Y (Ningen Dock., 22,29-34, 2008)

『心拍変動周波数解析のLF成分・HF成分と心拍変動係数の意義 : 加速度脈波測定システムによる自律神経機能評価』 高田 晴子、高田 幹夫、金山 愛 (総合健診 32(6), 504-512, 2005-11-10 

⑤ 

『うつ病からの復職過程における 労働者の自律神経機能評価:加速度脈波(APG)システムによる短時間測定』 (日本生体医工学会東海支部学術集会 口演発表, 2008

⑥ 

精神負荷ツールとしての「金魚プログラム」の有用性の検討』

(日本産業ストレス学会 口演発表, 2007

加速度脈波(APG)による心拍変動(HRV)解析の試み』

(日本産業衛生学会東海地方会 口演発表, 2007

加速度脈波測定システム(Artett)によるメンタルストレス評価 : 復職後のフォローアップにおいて』 (日本産業衛生学会 口演発表, 2006

 

 

先行研究を経て行った本研究の結果、うつ病から復職した労働者に

ついて、問診票では捉えられなかったストレス反応を、自律神経バランス

測定により捉えることに成功し、ストレスを数値化する可能性を示すこと

が出来ました。

 

 3.研究の意義と展望

 

本研究の意義は2点あります。

 

1.  加速度脈波計という、携帯可能で静かな場所であればどこでも測定可能

な産業医訪問に適したツールの、メンタルヘルス活動における可能性

示せたこと。

(加速度脈波計で自律神経バランスを測定した英文論文は、本研究が初)

 

2.  メンタル不全から復職支援中の労働者の、勤務中の自律神経バランスを

調査出来たこと。

(メンタル不全からの復職支援中の労働者の自律神経バランスを調査した

 研究は、本研究が初)

 

 

もちろん、自律神経はメンタルストレス以外の数多くの外因性・内因性の

要因の影響を受けるので、自律神経バランス=メンタルストレスバランス

ではありません。

 

しかし、測定者が自律神経測定値の意味を理解したうえで、問診・面談と

組み合わせれば、復職支援やうつ病の早期発見、そして現在大きな課題と

なっている「現代型うつ病」の評価にも、加速度脈波計による自律神経

バランス測定は寄与しうるものであると考えられます。

 

 

※本研究の一部は、独立行政法人・労働者健康福祉機構が行った労災疾病

等医学研究・開発における働く女性のためのメディカル・ケア」分野の

働く女性のストレスと疾病発症・増悪の関連性に係る研究・開発、普及

研究報告(平成25年)内に引用されました。

11-3.pdf
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 4.研究の概要

 

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高田労働衛

コンサルタント事務所

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